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コラム「マングローブの不思議な力」

みなさんこんにちは、Mr.モリーヌです。

 

今回のテーマも前回に引き続き

「フィジー共和国におけるマングローブ林再生(植樹)活動」

です。

 

そして今回は

「マングローブ林の持つ、不思議に満ちたチカラや役割」

のことを中心に紹介していきます。

 

「自然や植物には詳しくない」という人にもわかりやすく、

きっと「へぇ~!」と思ってもらえる情報を紹介しますので、ぜひお付き合いくださいね。

 

まず、そもそもマングローブというのは、スギやサクラ、ツバキなどのように、木の種類を表す名前ではありません。

 

熱帯~亜熱帯の汽水域(河口などの海水と真水が混じる地域)に生える植物を集合的にマングローブと呼んでいます。

 

マングローブ林は、マングローブ植物と呼ばれる数種類~数十種類の植物が集まってできています。

 

その中でもヒルギ科、クマツヅラ科、ハマザクロ科など、マングローブの主役になっている樹木があり、

そうした木々をマングローブと呼ぶ場合もあります。

 

マングローブは、地上の他の森林とはかなり異なる、

不思議なチカラをいくつも持っていることが知られています。

 

マングローブの不思議なチカラの1つ目として

「海水に耐えられること」

があげられます。

 

ご存じの通り通常の陸上植物の大半は、

海水レベルの濃い塩分には耐えられず、根が海水に浸かれば、やがては弱って枯れてしまいます。

 

ところが、マングローブ植物の多くは「耐塩性」を持ち、

余計な塩分を葉に集めて捨てるなどの不思議な仕組みによって、

たとえ根から海水を吸い上げてしまっても、生きていけるのです。

 

さらに、マングローブ植物の樹皮はタンニンなどを多く含み、

ジメジメした環境に強く、簡単に腐ったりしません。

 

こうした特殊能力によって、

マングローブ植物たちは、他の植物が生きられないような波打ち際や浅瀬でも元気に育ちます。

 

マングローブの不思議なチカラの2つ目は

「特殊な根っこを持つこと」です。

 

砂や泥で覆われた海岸や浅瀬というのは、

普通に根を張っても大きな幹や枝葉の重さを支えられず、

本来なら木が生える場所としては向いていません。

 

しかし、マングローブ植物は

板根(ばんこん:枝状ではなく板状に発達した巨大な根)

・膝根(しっこん:まるで膝(ひざ)のように曲がりくねった根)

・支柱根(しちゅうこん:文字通り支柱のように幹から突き出して、四方八方の地面に突き刺さる根)

といった奇妙な構造をした根を発達させ、

柔らかい砂や泥の上でもしっかりと巨体を固定するのに役立てています。

 

そして、不思議なマングローブの根の中でも、特に変わっているのが

筍根(じゅんこん:根の真上方向に突起が生まれ、筍(たけのこ)のように、地面や水面から顔を出すタイプの根、通気根や呼吸根とも呼ばれる)です。

 

こうした奇妙な形態をした根はマングローブ林を特徴づけるものとなっています。

 

いずれのタイプの根も、酸素の少ない水中でも酸欠を起こさず、

がっちりと樹木を支えていられるのが大きな長所です。

 

この根の働きにより、

マングローブは多少の波や風、

それどころか台風やサイクロンによる暴風や高潮にさえ、耐えることができます。

 

マングローブの葉にも、過酷な環境を生きる秘密が隠されています。

 

マングローブの葉は、クチクラ層という水をはじく構造をよく発達させていて、

多肉質で光沢のある葉は高温や乾燥に耐え、海水を浴びても平気で、強い紫外線にも強いという性質を持っています。

 

さらに、胎生種子(たいせいしゅし)という、

変わった繁殖方法を持つマングローブ植物もあります。

 

沖縄でも見られるヒルギの仲間では、果実内の種子が樹上で発芽し、細長い棒状に育ちます。

 

その種子はやがて地上に落ちて水面を浮遊、または直接地面に突き刺さり、そのまま成長を続けます。

 

わかりやすく言うと、普通の植物ようにタネをばらまくのではなく、

枝の上で苗に育ててからばらまくという作戦を実行しているわけです。

 

本当に不思議な植物ですね。

 

さて、ここまでで紹介してきたマングローブの不思議なチカラは

 

「なぜマングローブの植林が大事で、人々の暮らしに役立つか」

 

に大きく関係しています。

 

当コラムの次回、

 

「フィジーの人々の暮らしが植林活動によりどのように変わっているか」

 

につながる内容ですので、覚えておいていただけると嬉しいです。

 

参考サイト:http://mangrove.or.jp/index.html

      https://www.manglobal.or.jp/

 

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[筆者:Mr.モリーヌ]

関西某所にて学習塾を主宰し地元の子どもたちを教える傍ら、

主に環境・教育分野のライターとして、紙媒体やWeb媒体で年間100記事ほどを執筆している。

不登校児や発達障害児の支援ボランティアも行う。

パチスロは学生時代「ドンちゃん」に挑戦するも、目押しができずに惨敗した記憶あり。

祖父母がパチンコファンで、特に大好きだった「海物語」には、楽しい思い出もある。

現在の使命は、コラムを通じて「世界の環境問題の今」をわかりやすく伝えること。

「植林ぱちんこ」に、全国のファンのさりげない善意を集結させること。